背後霊、海月のブログ
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Date : 2024.11.25 [Mon]
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Date : 2009.03.26 [Thu]
お前が思う程、世界は甘くはない。
絶望の深さも知らぬお前に、生き続ける権利などありはしない。
何故ならお前は、罪深いから。
絶望の深さも知らぬお前に、生き続ける権利などありはしない。
何故ならお前は、罪深いから。
式神が届ける娘の姿を、唯私は見ていた。
娘は、只管に本を読む漁っている。
式神の気配に気付きもしない、黒髪の機精を冷ややかに見つめる。
お前はこんな些細な事にさえも気付けないのか、『涙紗』と。
そしてふと、考える。
―『涙紗』―
名を騙るのは、償いのつもりなのか。
己が真名を隠し偽ったとて、罪が消える訳でもあるまいに。
まして、死者を辱めるだけ。
「嗚呼、愚か。」
唇の端を噛み締め、私は忌々しげに吐き捨てる。
全ての世界の誰よりも、私はお前が憎らしい。
お前さえいなければと、何度思った事か。
だからこそ私は、今こうしてここにいるのだから。
式神からの映像を遮断する。
これ以上見たとて、娘は変わらず本を読み続けるだろう。
気が済むまで、ずっと。
あれはそう言う娘だ。
一つの事にのめり込み、やがて全てを失う。
くつりと、喉の奥から笑みを零す。
嗚呼、私はそれが待ち遠しい。
お前が絶望し、壊れ、死に逝く姿を
私は歓喜の表情で見つめることだろう!
「憎いお前が息絶える事。
これ以上の幸福など、ありはしないのだから。」
お前の全てが壊れる事が、唯一の償い。
お前はこれ以上罪を犯すべきではない。
これ以上、取り戻せない過ちを犯すべきでは―…
ぽたりと、雫が瞳より地に落つる。
嗚呼、きっとあなたは喜ばない。
愛しんでくれた私の変わり果てた姿に
寧ろ、悲観にくれるのだろう。
けれど、構うものか。
私のあなたは何処にもいないのだから。
生き永らえさせて堪るものか。
災いを、解き放ってなるものか。
最大の過ちを、決して見過ごしてなるものか。
「お前だろうと、魔女だろうと、友だろうと、想い人だろうと
誰一人として、邪魔などさせてなるものか。
……そうよ。邪魔なんて、させたりしないわ…」
手の平にきつく爪を立て、唇を噛み締める。
正しいか正しくないかなんて、問題ではない。
唯、私はお前が許せないだけ。
倫理から外れるとて、構わない。
外れてもなお強行する理由が、私にはあるのだから。
「………今度は、間違ったりしない。」
―例えこの身がどうなろうとも、決して。―
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